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WATANKO

Author:WATANKO
2008年からインデックスファンドによる資産運用を始めた個人投資家です。またサラリーマンの傍らで家業ともいうべき不動産賃貸業も営んでいます。趣味は自動車にまつわる諸々。ご連絡はwatanko1967@gmail.comまで。

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【補稿】BMWがFFをつくる理由

2020/02/10 22:58:00 | 自動車 | コメント:2件

2ショット

(今回は前回書ききれなかった分を補稿としてUPしました。)


■いつの間にか増えたFFモデル

 

ドイツのプレミアムメーカーであるメルセデスやBMWはかつてFRのセダンまたはクーペだけで商品ラインナップをほぼ構成していました。それが今やB、CセグメントにおいてFFモデルが充実したラインナップになっています。

 

BMWはまだ1シリーズ、その3BOX版の2シリーズ、同じく2シリーズのツアラー系くらいですが、メルセデスにいたってはAクラスとそのセダン、Bクラス、クーペスタイルのCLAセダンとブレークまであります。(両メーカーともさらに派生するSUV系FFもありますがここでは割愛。)

 

いつの間にこんなにもFFのモデルが増えたのか、いや増やしてきたのか。

 

世界のあらゆる企業と同様に自動車メーカーは自社商品の販売台数拡大とシェアUPを目指します。それでないと激烈な自動車競争の中で勝ち残ってはいけませんし、その原動力となる研究開発費の調達や新しいサービスを創出するための投資ができません。そうなるとさらには買収リスクにも晒されることになります。

 

ではプレミアムメーカーが自社商品をもっとたくさん売りたかったらどうすべきか。

 

簡単な答えの一つは値下げです。日本においてもメルセデスのCクラスやBMW3シリーズをあと1,000千円~1,500千円でも値下げすれば販売台数は大幅に増大することでしょう。一台あたりの利益は減りますが、そのかわりに数が出て短期的には利益総額を伸ばすことができるかもしれません。

 

しかしことはそう単純ではありません。メルセデスやBMWのようなプレミアムメーカーにとって安易な値下げはブランドイメージを毀損させ、だまって高いお金を出して買ってくれる本来のコアな客が離れていくおそれがあります。

 

新品のロレックスが300千円で買えるとなったら沢山の人たちが買い求めて、街中ロレックスをつけた人達だらけになります。そうなると元々ロレックスをつけていた本来のお金持ち達はもっと高額でよりステータスを誇示できる時計に買い替えていくでしょう。そして一旦はロレックスが広く行き渡りメーカーは多額の利益を得て我が世の春を謳歌するかもしれません。しかしその先に待っているのは同じく値下げしてきた競合ブランドとの価格競争です。こうなってはもはや商品の価格帯を再び上げることは難しいでしょう。

 

メルセデスもBMWも自社製品の価格帯を安易に引き下げることについては慎重です。むしろモデルチェンジのたびに商品価値を上げて少しずつでも値上げしていきたいくらいが本音です。

 

余談ですがこれをうまく実現しているのがポルシェです。よく「最新のポルシェが最良のポルシェである」と喧伝されていますが、WATANKOが補足するとなれば「最新のポルシェが新車で買える最安値のポルシェである」と言えます。将来買う新車のポルシェの方が絶対に高いので新車を出来るだけ安く買いたいのならば今すぐに買うべしというわけです。

 

しかし一方で商品価格が高いものばかりで留まっていると販売台数の拡大には自ずと限界があります。そこでブランドイメージを損なわずに販売台数を伸ばすためにはどうするか。プレミアムメーカーは公言してはいませんが、その回答として出したのが「従来とは別のもっと量販となる商品ラインナップを揃えて、そこにブランドイメージをうまくトッピングして売り捌く」です。

 

具体的には従来の高級路線、従来の上得意客向けには従来の上質な乗り味を保ったFRモデル、歴史ある商品ラインナップを維持する一方で、もっとアフォーダブル(買い求めやすい)な商品ラインナップとしてFFモデルを並行して揃えるという商品戦略です。

 

車と歴史に詳しい従来の上得意客から見れば、ホンマもんのメルセデスはEクラスから上のモデルだけだといって、FFモデルのAクラスには関心が薄いし自身のファーストカーにしようとは考えません。FFとは別物である(であると信じ込んでいる)高級・上質なFRモデルに磨きを掛け続けてくれれば良いと考えます。

 

一方でアフォーダブルな価格帯のモデルが出てきたことによって「価格がちょっと高い車を買うならトヨタの高級なモデルよりもいっそメルセデスを買おう。メルセデスだよ、お父さん!」という気になる顧客が出てくることでしょう。(ここでモノをいうのがブランドパワーです。)

 

FFモデルの導入と展開

 

メルセデスのFFモデル投入は1997年、23年前の初代Aクラスからでした。他の伝統的なSクラス、Eクラス、Cクラスとはかけ離れた存在。全長を詰めに詰めたコンパクトサイズ。燃料電池を積むつもりなので二重床。エルクテストで落第点をとり、ますます継子扱い。

 

スリーポインテッドスターがついていなければ誰もメルセデスなんて思えません。(いや、ついていても旧来の車好きにはメルセデスにはみえなかったはず。)スウォッチと共同で同時期にリリースしたスマートの方がまだポップな佇まいで好感が持てました。

 

そのAクラスはやがて2013年から登場した3代目からは幅広いユーザーに受け入れられやすい、いたって普通のFFモデルとなりました。そればかりか大きくて目立つフロント周りと強調されたスリーポインテッドスター。廉価なクラスとはいえメルセデスとして市場から認められて売れ始めます。

そして2018年に登場した現行の4代目については、もうそこにはかつてエルクテストで転んだ面影はどこにもなく、最新のインフォメント技術を備え立派な佇まいをもつメルセデスでありました。

 

一方のBMW。1シリーズの源流は1994年に登場した3シリーズコンパクト。この初代コンパクトは当時すでに旧式であった先代3シリーズのシャシーを転用した明らかな廉価版。当時の車両本体価格は3,000千円を少し切るくらい。小金持ちで従来からのBMWファンからはメーカーに対して「そこまでしてBMWに乗らせたいのかね。」と嘲笑される始末。やがてその冷ややかな目は二代目コンパクト、初代1シリーズとなっても変わらずでした。

 

ところがこのCセグメントハッチバックは先代F20がマイナーチェンジを迎えた頃、同じくFRベースであった同セグメントのSUVであるX1がFMCでFFに変わり、同クラスのミニバン風の背高ファミリーハッチバックとしてFFのツアラー系2シリーズが登場してきた辺りから少々風向きが変わってきました。

 

最新の1シリーズは3シリーズとエンジンを共有し、かつ装備も充実し3シリーズの廉価版という面影はだいぶ払拭されてきました。それどころかCセグメントの貴重なFRモデルとして往年のBMWファンだけでなく、車好きに広く支持される1シリーズがそこにありました。そして次のF40がFF化されることが公然の秘密となると、このコンパクトFRについて販売終了前の駆け込み需要が高まったとか・・・。

 

■FFで成功したメルセデス、追いかけるBMW

 

日本の輸入車の年間販売台数はひと昔前まではVW、メルセデス、BMWの3社がしのぎを削ってきましたが、近年はそこからメルセデスが頭一つ抜き出て来ています。(以下は2019年の輸入車販売台数ブランド別順位)

 

1位 メルセデスベンツ  66,553

2位 BMW       46,814

3位 フォルクスワーゲン 46,794

 

いまやメルセデスはAクラスをはじめとしたFFモデルのラインナップを充実させています。上記の販売台数の伸長はその成果を表したものです。メルセデスは伝統的な上得意客にはFRモデルを、昔のスタイルにこだわらない間口の広いユーザーにはFFモデルをそれぞれ用意しています。さらにはトップクラスの性能を誇るGTシリーズやAMGモデルも多数そろえることでブランドイメージも高めています。

 

対抗するBMWも指をくわえてみているわけにはいきません。1シリーズはいまやユーザー層を拡大させるための重要な量販モデルであり屋台骨です。ディーラーにとっては1シリーズを買わせることができたならば、その客に7年後に3シリーズに買い替えさせることは、メルセデスのCクラスから3シリーズに乗り換えさせることよりもはるかに容易なはずでしょう。

 

BMWは20年近く前に立ち上げたBMWミニにてFFの車づくりを十分に経験し、かつ成功をおさめてきました。技術的、商業的な迷いなき今、1シリーズをFF化させることでもっと多くのユーザーを獲得する争いに本格的に打ってできいくわけです。

 

■まとめ

 

さてここまで読んでBMW1シリーズに興味をもった貴方、先代FRモデルはまだ新古車や走行距離がごく少ない個体がたくさん出回っています。伝統の走りに憧れて買いに走るか、それともBMWが野心的に取り組み、広めんとする新型FFモデルのハンドルを握ってみるか。

 

伝統(FR)を重んじるか、革新(FF)に惹かれるか。これもまた車選びの難しさと楽しさであります。

 

WATANKOは前車E90でBMWの伝統を十分に味わいました。この次は革新に触れてみたいと思います。それが先代1シリーズ購入をとうとう見送り、新型のF40を契約した真の理由でありました。

 

(あとがきにかえて)

 

妻ミサト「嘘おっしゃい!あなたは他にFRのNDロードスターをもっているから、こっちはFFで妥協したのね?」

 

WATANKO「半分あたり。でも残り半分は違うよ。FRだけでなく2020年代のよくできたFFともカーライフを送ってみたくなったからさ。FFは運転がラクなんだよ。F40は君も運転する機会がそこそこあるから、その方がきっとよいでしょ。」

 

妻ミサト「わかったわ。それなら今からまた慣熟ドライブにいきますわよ。」

 

WATANKO「お願いだからあまり飛ばさないでね・・・。」

 


 


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コメント

2020/02/12(水) 15:57:41 | URL | るび #-
こんにちは。
車選びの結論。そしてインプレッション。楽しく拝読いたしました。ブルーカッコいいですね!
BMW1シリーズ。現行型はFF化が、やっぱり最初に来るトピックな気がしてますが、詳細なインプレッションを読んで俄然興味がわきました。ありがとうございました。
ここ10年近くのドイツ勢の間口の広げ方については、理解出来るもののうーんと思う部分もありますが、完成度はすごいものがあるなと思っています。FF導入において、その前からBMWがミニを仕立て始めていたというのは、大きなポイントだったんだなーと改めて感じました。

Re: タイトルなし

2020/02/13(木) 22:52:13 | URL | WATANKO #/uTO8teo
るびさん

駄ブログ記事をご高覧いただきましてありがとうございました。
BMWが19年前にMINIブランドでFFを作り始めた時から、このような将来がくることは予想されていたと思います。

確かに1シリーズにとってFF化は最大のトピックスですが、BMWはこの後にM3やM4のFMC、そしてたくさんのEVモデルの登場が控えています。おそらくこの1シリーズがマイナーチェンジを迎えるころにはもう誰も気にしなくなると予想します。BMWをめぐる話題はかくも目まぐるしく動いています。

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