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2008年からインデックスファンドによる資産運用を始めた個人投資家です。またサラリーマンの傍らで家業ともいうべき不動産賃貸業も営んでいます。趣味は自動車にまつわる諸々。ご連絡はwatanko1967@gmail.comまで。

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【Side A】(続)サブリース契約のメリットを教えてください

2021/02/14 12:08:00 | 不動産投資 | コメント:0件

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(前回からの続きです。)

 

前回、サブリース契約、いわゆる一括借り上げ契約についてWATANKOなりに契約内容の実態を説明しました。続きである今回はビジネスの視点からとりあげてみます。

 

WATANKOの過去事例

 

時に西暦2000年。

 

某アパート業者最大手の営業マンが今は亡き父のもとにアパート新築を斡旋しにやってきました。

 

WATANKOは当時70歳を超えていた父だけに応対を任せてはまずいと思い、急きょ同席して色々と話を聞きました。とくに営業マンが唱える「新築したアパートを一括借り上げしますから安心です。」という謳い文句に、どうも胡散臭さを感じたWATANKOは詳しく話を聞きました。


すると耳障りの良い言葉の陰にオーナーとしてはとても飲めない付帯条件ばかりがあることを知り、アパート建築そのものも含めて丁重にお断りしました。

 

更に時がすすんで西暦2009年。

 

今度はWATANKO自身がアパートを新築して賃貸経営に乗り出す際には、やはりアパート業者(上記の最大手とは異なります。)から一括借り上げの提案を受けました。

 

アパート業者いわく「いろいろ賃貸物件をお持ちのWATANKOさんであれば、今回のアパートに関しては安定的な収益獲得とする方向で十分ではないでしょうか。そこで一括借り上げをお勧めします。」と提案されました。

 

これに対して私は「いや、まったく逆です。複数の物件に分散して投資しているので、物件ごとに収益のボラティリティを抑える必要はあえてありません。それよりもリターンをあげるためにはコストが重要です。一括借り上げにすることでコスト増に結び付くことの方が嫌気しますね。」とアパート業者の提案を断りました。

 

2000年、2009年どちらであっても当時、WATANKOは不動産投資、アパート経営に関して特別のノウハウやリテラシーを持ち合わせていたわけではありませんでした。

 

しかしながら普通のビジネスマンの感覚のみであっても、サブリース契約を眺めた時に、オーナーにとってメリットを感じる内容には思えませんでした。

 

以来、現在に至る迄、サブリース契約についてメリットをWATANKOは見い出せてはおりません。

 

誰か、教えていただけませんでしょうか。

 

■アパート業者が無償の便益を与えることはない

 

アパート業者が提案するサブリース契約とは、賃料収入に不安を感じるオーナー候補者に対して契約を後押しするためにあつらえた付帯サービスです。ですが付帯サービスだからといってアパート業者が余計なリスクを背負いこむわけではありません。むしろ場合によってはアパート業者がさらに利益を得る機会ともなりえます。

 

ただし後者については、世の中にはタダ飯はありませんので、アパート業者に委託する仕事範囲が増える程、アパート業者が得る利益もまた増えるのは道理です。「ここから先はアットコストでやってあげます(利益は不要です)」なんて業者は通常、存在しません。

 

アパート業者がサブリース契約において賃料見直し(減額)の条項を入れている以上、アパートの賃料収益にかかわるボラティリティは、サブリース契約ではない通常のケースと本質的には変わりはありません。サブリース契約があろうがなかろうが、オーナーは賃料収入減のリスクを負い続けるのです。

 

もしもオーナーにとって前回記事で取り上げた「一定賃料相当を前払いで支払う」「入居がない部屋の賃料負担はnカ月目から」「その他何らかの手数料を支払う」といったサブリース契約に伴う+αの負担の発生が一切無く、入居がない部屋の賃料をアパート業者が即時100%自己負担するとしたらどうでしょう。

 

契約したサブリースのアパート・オーナーに対して軒並みそのようなことをすればアパート業者の経営はたちまち立ち行かなくなるでしょう。なぜならアパート業者の収入源はアパートの建築時に得た利益を除けば、オーナーのアパートの入居者募集と管理業務で得る賃料の5%程度の金額だからです。(実際にはそれなりに収入を得る事項がいろいろありますがここでは割愛します。)

 

ですからアパート業者がアパート建築請負と募集・管理の業務受託ほしさに自腹を切ってオーナーに代わって家賃保証という便益を無償で与えるわけはありません。

 

まず以上のことを根本的に理解いただくことが大事であります。

 

サブリース契約とは、ここまで述べてきたようにオーナーにとって目先のキャッシュフローが変わるだけであり、せいぜいアパート新築に踏み切るにあたっての心理的な抵抗を下げる程度の役割しかありません。(しかも大抵の場合、賃料収入減のリスクが減るという誤解を伴っています。)

 

そもそも高い入居率を長年にわたりキープできるアパートは、サブリース契約が無くてもあっても採算が確保できます。しかしながらサブリース契約の場合、アパート業者の介在が増える分だけオーナーの収益は悪化します。

 

■新築時でも入居率が気になる場合

 

アパートの物件としての競争力は新築時がピークであることが前回の記事で述べました。ところが新築時であっても入居率に不安があるアパートの場合、サブリース契約を検討されるオーナーがいるかもしれません。

 

例えばやや極端に言えばアパートが田畑の中にポツンと建てられており、一番近いコンビニまで車で10分かかるといった不利な条件が備わるケースです。

 

オーナーからしてみれば、先祖代々から引き継いできた土地を手放すことなく収益化したい想いからアパート新築を検討するのでしょうが、立地については冷静な判断が必要です。

 

いくらサブリース契約で一旦は満室見合いの賃料収入を得ることができたとしても、そのような新築時からして入居率が低いアパートを長期的に運営していることについては大いに不安です。

 

もしもアパートの建築費用の大半を金融機関からの借り入れで賄っている一方、サブリース契約下の賃料減額が早期に到来すると毎月のキャッシュフローが赤字に転じるかもしれません。

 

アパートの立地に不安があり、かつ借り入れを行う場合、サブリース契約云々以前の問題として、アパートの長期収支計画についてはかなり保守的な視点からチェックする必要があるでしょう。


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■消費者庁による注意喚起

 

前回記事をUPした後、にこいちさん(@Niikooiichii)から消費者庁によるサブリース契約に関連する注意喚起が発信されていることを教えていただきました。(にこいちさん、ありがとうございます。)

 

消費者庁のサイトを見ると、次のとおり注意喚起されています。

 

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中でも一番やっかいと思えることは、サブリース契約の解約に関してはアパート業者側からの解約は業者の意思で可能ですが、一方でオーナー側からの解約にあたっては借地借家法の定めにより正当な理由が必要となっている点です。


(出展:消費者庁 サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!に掲載資料より抜粋)


 

■それでもサブリース契約を検討する方へ

 

ここまでお読みいただいて、それでもサブリース契約を検討するという方は、以下の契約内容について十分に理解しつつ、長期の収支計画を保守的に立ててみた上で覚悟を決めた方がよいでしょう。

 

(1)  賃料見直しの条件やプロセス

(2)  契約にあたってオーナーが負担する費用(契約時点および期間中)

(3)  その他オーナーにとっと不利な条件(含む契約解除)

 

通常、上記はアパート業者がサブリース契約に関してセールストークによってオーナーをその気にさせ、契約直前になってボソッと呟く内容です。

 

上述の消費者庁による注意喚起においても「契約締結前の重要事項説明と書面の交付」が義務付けられていますので、それは一応守られているのかもしれませんが、既に判子を片手に契約締結に前のめりになっている段階のオーナーにとっては右の耳から入って左の耳にそのままぬけてしまう内容でしょう。

 

だからこそこれらの内容はアパート業者がサブリース契約を斡旋した最初の時点、まだオーナーが冷静でいられる時点につぶさに聞いておいて、その意味をよく理解いただきたいです。

 

WATANKOからしてみれば、それでもサブリース契約を選ぶオーナーに対してGOOD LUCKという言葉を贈る気には到底なれませんが、せめてBAD LUCKを掴まぬよう祈るばかりです。

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